こんにちはテニスゴリラです!
今回のトピックは現代のテニス選手と10年前の選手の身体的な特徴(主に身長と体重)に着目してこの10年でテニス界のトレンドがどう変化してきたのか簡単に考察していきます。
というのもテニスに限らずですが、スポーツにおいては身体的な特性が競技パフォーマンスに大きな影響を与えてきます。
いわゆるBIG4の時代がまさに終焉を迎えようとしているこのタイミングで、彼らの時代のトップ選手と現代のトップが一体どのくらい違うのかまずは簡単に比較していきたいと思います。
現在と10年前のATPトップ10選手の身長と体重の比較
現在のATPトップ10選手のデータ
- Novak Djokovic:188 cm/77 kg
- Carlos Alcaraz:185 cm/72 kg
- Daniil Medvedev:198 cm/83 kg
- Stefanos Tsitsipas:193 cm/89 kg
- Andrey Rublev:188 cm/75 kg
- Jannik Sinner:188 cm/76 kg
- Casper Ruud:183 cm/77 kg
- Alexander Zverev:198 cm/90 kg
- Holger Rune:188 cm/77 kg
- Taylor Fritz:196 cm/86 kg
10年前のATPトップ10選手のデータ
- Novak Djokovic:188 cm/77 kg
- Roger Federer:185 cm/85 kg
- Rafael Nadal:185 cm/85 kg
- Stan Wawrinka:183 cm/81 kg
- Kei Nishikori:178 cm/75 kg
- Andy Murray:190 cm/84 kg
- Tomáš Berdych:196 cm/91 kg
- Milos Raonic:196 cm/98 kg
- Marin Čilić:198 cm/89 kg
- David Ferrer:175 cm/73 kg
身長と体重の比較:差異の計算【身長-体重】
現在の選手
- 平均身長:189.3 cm
- 平均体重:79.2 kg
- 身長 –体重の平均:110.1
10年前の選手
- 平均身長:188.2 cm
- 平均体重:82.8 kg
- 身長 –体重の平均:105.4
考察:
まず10年から現代まで身長はそれほど変わらないですね。
他の選手に比べて錦織選手とフェレール選手が170㎝台で、そこが平均を若干下げていることもありここには差がないと言っていいでしょう。
ただし、体重についてはどうでしょうか?
これは4kg近い差があり、現代選手の方が明らかに軽くなっています。
身長(㎝)ー体重(㎏)の数値から見てもこれは明らかです。
ではこの数値の差は何で生まれているのかというと、これは恐らく体脂肪です。
少し悪意のある写真のチョイスかなとも思いますが、明らかにアルカラスの方が体脂肪の量は低いでしょう。
もちろんアルカラスは現代テニス界きってのフィジカルエリートなので他のトップ10選手が全員彼の様な肉体というわけではありませんが、それでも10年前より体重が平均して4kg程度減っているというのは男子テニス界に少なからず軽量化の流れがあるのでしょう。
身長の影響:サーブ力とコートカバー範囲
先のデータからもわかるように、現在の選手の平均身長はわずかに高くなっています。
これにより、サービスエースの確率が高くなると同時に、コートカバー範囲も広がります。
高身長の選手はサーブの速度と角度において有利であり、これによってサービスゲームでの優位性が増します。
科学的研究によればサーブの速度と角度は身長と正の相関関係にあることが示されており、簡単に言えば身長が高いほどサーブは速くなるということになります。
身長が高いほどサーブの角度はより鋭くなり、リターンしにくいボールを打つことができます。
また、コートカバー範囲が広がることで守備力も向上し、難しいボールにも対応しやすくなります。
体脂肪率の影響:俊敏性とリカバリー
体脂肪率の低下は俊敏性を向上させると同時に、リカバリー能力を向上させることにも可能性もあります。
また、低い体脂肪率により選手は素早くコートを移動しポジションを変えることができる様になるため言わずもがな俊敏性も向上します。
体脂肪が低いことでいくつかの要因によって筋肉の回復が早くなることもあります。
そのためプロの様な極限の状態で行われる試合の後もリカバリー時間が短縮され、連戦に耐えることができる様になるとされています。
そのため、現代の選手はより高いレベルのパフォーマンスを維持しつつ、その高いパフォーマンスを大会を通じて維持する能力が向上していると言えるでしょう。
体重増加による関節や身体への負荷
体重が1 kg増加するごとに関節や身体にかかる負荷は増加し、特に膝や足首にかかる負荷が大きくなりるとされています。
例えば体重が1 kg増えると歩行時には膝関節に約4 kgの追加負荷がかかるとされています。
これは、関節にかかるストレスを増大させ、長期的には関節の損傷や痛みの原因となる可能性があります。
また、体重が増えることでエネルギー消費量も増加します。
これによってスタミナの消耗が早くなり、長時間の試合で疲労がより蓄積しやすくなります。
別に過去の選手の体を否定するわけでは決してありませんが、現代の選手はよりシビアに体重管理をし体重を減らすことによってパフォーマンスを向上を実現させているということができます。
過去と現在、ボールスピードの変化
ここで疑問に思うことが一つありますね。
それは体重が落ちたことによるパワーの減少です。
やはり体重が重い方が筋力が強くより速い球が打てるのではないかと考える人は多いと思います。
ただ、これもデータを比較してみると意外な結果が見えてきました。
現代トップ選手:平均フォアハンド速度は約120.7 km/h)~136.8 km/h
10年前のトップ選手:平均フォアハンド速度は約104.6 km/h~120.7 km/h
時速15km程、現代テニス選手の方がショットの速度が速いのです!
もちろんこれはラケットやストリングの機能向上も大いに関連してくると思うので別に筋力だけの問題ではないとは思いますが、それでもトレーナーとしての立場から考察するにトレーニング理論や方法が向上したことが理由で体重が軽いなかで大きなパワーを発揮できる選手が増えてきた結果かと思われます。
まとめ
過去10年間でテニス選手の平均身長がわずかに増加し、逆に体重は減少の傾向が見られます。
これらの変化はここまで考察した様に選手のパフォーマンスに大きな影響を与えています。
高身長の選手はサービスゲームでの優位性を持ちながらも適度な体重管理によりパワーとスタミナのバランスとることで、低い体重・体脂肪率の中で俊敏性とリカバリー能力を向上させています。
科学的研究に基づいたトレーニングと栄養管理が、現代のテニス選手のパフォーマンス向上に重要な役割を果たしているのはもはや疑いようがなく、これからの10年もさらにその傾向は強くなりスピード&パワーのテニスは継続していくと思われます。
もはやテニスのパフォーマンスはコート内での練習だけでなく、コート外で如何に上手く体を作りこんでいくかも非常に大切になってくるということです。
なので最後に一言…
筋トレしましょう!
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