突然ですが、皆さんは普段どのような方法で体の回復を行っていますか?
睡眠?マッサージ?ストレッチ?
方法は人によって様々かと思いますが…
テニス選手もまた様々な方法で日々の練習や試合で蓄積した疲労の回復に努めています。
今回は数多くのリカバリーテクニックの中からアイスバスをピックアップしてその効果を科学的な根拠に基づいてご紹介していきます!
アイスバスとは
アイスバスは、氷水に浸かることで身体の回復を促進する手法です。
具体的な温度は氷水だからといって0℃ということはなく、大体10~15℃の間にコントロールされており、その中に10~15分の間浸かっていくというとてもシンプルな方法です。
1. アイスバスの生理学的影響
筋肉の回復と炎症の軽減
アイスバスは、特に運動後の筋肉の疲労と炎症を軽減するのに効果的だとされています。
British Journal of Sports Medicineに掲載された研究では、アイスバスに使った後の筋肉は炎症と痛みが有意に減少したことが示されています。
これは人間の体は冷たい環境にさらされると、体は血管を収縮させ、筋肉への血液流を減少させるためです。
これにより、炎症を引き起こす化学物質の拡散が抑えられ、筋肉の回復が促進されるというのがアイスバスの主な回復メカニズムの1つだとされています。
血流の改善と修復プロセス
アイスバスは血流のダイナミクスにも影響を及ぼします。
アイスバスは筋肉への血流を一時的に減少させるということは先ほど紹介しましたが、その後の血流の増加(リバウンド効果)は、筋肉の回復と修復を促進します。
氷水からあがった際、体は温まろうとして血管を拡張しこれにより酸素と栄養素が豊富な血液が筋肉に流れ込みます。
結果としてなにもしないよりも体の血液の循環が活発となり、筋肉の修復に必要なより多くの栄養素が血液に乗って全身の筋肉に運ばれることになるのです。
2. アイスバスの心理的効果
ストレスと痛みの軽減
アイスバスは心理的なリフレッシュにも寄与します。
Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sportsによると、冷たい水に浸かることで体が脳内麻薬とも呼ばれるエンドルフィンというホルモンをを放出し、ストレスや痛みを軽減させるということも示されています。
このプロセスは、体が冷たい環境に適応しようとする際に自然に起こる生理学的反応です。
集中力の向上
さらに、Neuroscience and Biobehavioral Reviewsに掲載された研究は、氷水浴が脳のアドレナリンの放出を促進し、これが集中力と精神的鮮明さを向上させることを示しています。
アイスバスによる冷たい刺激は、体内の神経系を活性化させ、より集中しやすい状態を作り出すということも示唆されている形です。
3. 実践方法と安全に関するアドバイス
効果的なアイスバスのプロトコル
アイスバスを実践する際には、いくつかのガイドラインに注意することが重要です。
最初の方でも紹介しましたが、一般的に推奨される方法は水温10〜15℃の氷水に10〜15分間浸かることです。
これを週に数回を目安に行うことが推奨されてはいます。
しかし、これはもちろん個人の感受性や健康状態によって、調整する必要があります。
そのため、やればやるだけ良いという方法ではなくあくまでも自身の体の状態ときちんと向き合い回数はもちろん実施するかどうかを決めましょう!
安全に関する重要な注意点
くどいようですがアイスバスは万人に適しているわけではありません。
心臓疾患や冷え性のある人、特定の健康問題を抱えている人は必ず医師と相談した上で行う様にしてください。
また、長時間の浸かり過ぎは低体温症を引き起こすリスクがあるため時間を厳守することが重要です。
4. テニス現場でのアイスバスの実用例
選手活用例
どこのツアーの現場でどの程度の施設があるのかは正確に把握していませんが、ウィンブルドンやローランギャロスでは少なくとも選手が使用できるアイスバスの施設があります。
上の動画はどこかはわかりませんが、チチパスとルーンが入れ代わりでアイスバスを使用しているので恐らくはどこかのツアー会場の施設であると推測されます。
まあ、一緒に練習してそのまま交代で使用したということもあり得ますが、問題はそこではなくプロも使用しているということを確認していただければと思います。
最後に
ここまでアイスバスの効果をできるだけ科学的な根拠に基づいて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
なんだかこれだけ見るとやらなきゃ損くらいに思えてきますよね?
ただし、ここまで色々と紹介しておいてなんではありますが、アイスバスとて様々な研究結果はあります。
効果が確認できなかったといった研究から、逆にマイナスの影響を指摘するものもあります。
もちろんやるにもそれなりの施設がいるのでそもそも日本ではやることすら難しいですが、もし試せる機会があった際はご自身の体はどういった反応を示すのか、本当に効果があったのか忖度なしでしっかりと判断していただきたいと…そう思います。
なにかご質問などございましたらお気軽にご質問ください。
それでは本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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